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古賀浩嗣(ゼロイチ代表)

■自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えられる人物

景気が回復しつつあると言われていますが、私たちには、そんな実感がありません。 ビジネスマンは、今まで以上にタフで常に自己を磨かなければいけない時代になってきているのではないでしょうか? 一方教育に目を向けると、ゆ とり教育が導入されるなど、様々な試みを通して、教育改革がおこなわれていますね。 これからどんな人材が必要とされてくると思いますか?

私は、ゆとり教育の是非はおいて、「ゆとり教育」が掲げる理念の一つである「自ら学び、考える」 人材の育成というところは大いに賛成です。これが実行できる人こそが、これからの日本・世界を背負っていく人間だと思っています。

これから求められる人材について話してもらう前に、「ゆとり教育」は何 で失敗したと思いますか?

「ゆとり教育」を考える上で重要なのは、「ゆとり」って一体何なの?ってことですね。 別に「できない子」を育てるために、ゆとり教育を取り入れたわけではなかったでしょう。 当時は、詰め込み学習が悪いって揶揄されていて、それに対応する形で出てきたのが、「ゆとり教育」です。 だから、私は、「詰め込み」を否定したいのなら、ただ単に「ゆとり」ではなく、「じっくり考えるためにゆとりをとる」 にすべきだったと思っています。普通に考えれば分かることですが、学校の勉強時間数を減らせば、自由時間が増えます。 そして、その自由な時間を使って、読書しようとか、いろんなことを考えてみようって思う子どもはどこにもいません。 「自由になれば、遊ぶ」。当然のことです。だから、本当の意味での「ゆとり教育」を実現するためには、拘束時間をもっと増やして、 「考えさせる時間」を増やすべきだったと思っています。そうすれば、もっと違った答えになっていたとも思います。

鶴原:「ゆとり教育」は失敗に終わりましたが、その理念は間違ってなかったということですか?

そうだと思っています。「ゆとり教育」の理念と企業が求める人物像は重なることが多いです。 トヨタは、「今日のトヨタの敵は、昨日のトヨタ」と言い、リクルートは、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」 と言っています。どちらも、工場のラインに乗って同じ製品を作り続けるような人材ではなく、自分で状況状況において思考し、 そして、その状況にあった対応・行動をとれる人材を求めています。これから必要なのは、自ら率先して、学び、考え、そ して自らを変革し、毎日一歩でも前へ進める人材です。

その考えには同意します。今は答えなんてない時代ですよね。 どの学校に行って、どの職業についたら安泰とかいう古い公式は通用しなくなってきていて、どんな業界で働いていても その時々の状況によって柔軟に自分の向くべき方向性を考え、行動をとれるかが重要だと思います。

■「自ら学び、考える」力を育てる

このような人材を育てるために、最良のシステムが「マンツーマン」であると私たちは考えています。 人の成長には、「内的要因」と「外的要因」が欠かせません。これは、エンジンで言うなら、点火プラグとガソリンと同じです。 「私がやる!」という思いが、点火プラグに火をつけ、その火が消えないように周りがサポートする。このサポートが、「外的要因」です。

私も最良の教育システムは「マンツーマン」だと思っています。アメリカでは少人数学級をクリントン政権下で導入し、一定の成果をあげました。 また、教育のルーツは、アリストテレスやプラトンの時代までさかのぼるのですが、その時は、学校という教育機関はなく、「家庭教師」しか存在しま せんでした。ちなみに、マケドニアのアレクサンダー大王の家庭教師はアリストテレスでした。
なぜ、「マンツーマン」がよいのかと問われれば、「教育にはタイミングが重要だ」ということがあげられると思います。「大きな学力」を書いた寺内義和さん もその著書の中で、「放つ、待つ、育つ」と書いています。これを簡単に言うなら、「とりあえずやらせてみて、じっくり待つ、そうすると育つ」ということな のですが、この「待つ」が難しい。「待つ」は、「放ったらかしにしておけ」という意味ではありません。「じっくり見守る」という意味が一番近いでしょう。 子どもをじっくり見守ろうとしたら、やはり、40対1では無理があります。これは、少なければ少ない方がいい。だから、究極の教育システムは、やはり「マ ンツーマン」です。



鶴原:タイミングが重要で、タイミングを見計らいながら、時にはほめ、時には叱るということがよい人材を育てるには重要なことだと感じています。 また、上手にほめたり、しかったりするのに有効なスキルがコーチングと呼ばれるスキルです。ほめると言っても、たくさんの方法があるし、叱ると いってもたくさんの方法があります。それらをうまく使い分けることによって、子どものやる気が引き出され、そして、「自ら学び、考える」人に成長していきます。 ほめることも、叱ることも相手を心から思うという思いやりの心がなければできませんね。 思いやりがないと、叱るが怒るになって、双方にとって何のメリットもないということになりかねません。

■良い習慣を身につけさせよう

また、子どもを育てる上で重要な要素として、「良い生活習慣を身につけること」「小さな成功体験を積ませること」があります。どんな些細なことでも、 達成すると、「達成感」が生まれます。これをたくさん感じることで、子どもは、どんどんやる気になっていきます。また、この達成を周りの大人がきちんと見守 ることで、その子どもは、どんどん成長していきます。この時にコーチングのスキルを使えば、より効果的ですね。

鶴原:「良い習慣を身につけること」がどうして重要なのですか?

成績のよい子、頭のよい子は、良い生活習慣を身につけていることが多いです。。元気にあいさつができていたり、汚い言葉や後ろ向きなことばを使わな かったり。このようなことが習慣として身に付いていれば、自然と心は前向きになります。心が前向きになれば、しっかりと勉強もできるようになります。だか ら、良い習慣を身につけるサポートとかを家庭教師にさせると勉強にも効果が出ます。元気良くあいさつをするという行為は些細なことですが、非常に重要なこ とです。

鶴原:同じようなことをニューヨーク市のジュリアー二市長が実践されていました。ニューヨーク市では、街の落書きや軽犯罪を徹底的に取り締まることによっ て、重犯罪の発生率が50%以上も改善されたと聞いています。小さなことを見落とさずに、きちんと注意を払う。そうすることによって、大きな犯罪も減らすこ とができる。良い生活習慣を身につけることと、ニューヨーク市で起こったことの根っこは同じですね。

■「有能感」「統制感」「受容感」で子どもは育つ

ニューヨーク市の事例は、ブロークンウインドウ理論という犯罪心理学の理論を実践した例です。心理学は近年すごく整備されてきています。 だから、これからの教育は、このような心理学をうまく駆使しながら行っていく必要があると思います。 私が、心理学でよく言われている事柄の中でも、特に注視しているのが、「有能感」「統制感」「受容感」です。人を育てるためには、この3つが 非常に重要と言われていています。「有能感」は、「僕はできる人だ」と感じること、「統制感」は、「僕にできそうだ」と感じること、「受容感」は存在を認 めてもらっていること。「有能感」と「受容感」は、マンツーマン教育で効率よく育むことが可能です。上手にほめることによって、子どもが自分自身を「でき る人」と思うようになる。また、常に接して、働きかけることによって、「受容感」も与えることができます。「統制感」を上手に与えるのに大事なのが、「目 標設定」です。自らの現状を考えて、自分で目標を設定して、それに取り組む。スケジュール通りこなしていくことで、「統制感」を得ることができます。また、 目標を達成すれば、大きな「成功体験」を得ることもできます。だから、家庭教師がそばについて、子どもに「目標設定」をさせて、それに向かって取り組ませ る環境というのは非常に重要です。


「マンツーマン」で働きかけるということは、心理学的に見ても、非常に有効な手段だということが明らかになってきています。「家庭教師」を通して、 日本の教育にインパクトを与えられるようなことをどんどん発信していきたいですね。



今日はお忙しい中ありがとうございました。

私たちも、まだまだこれからがんばらないといけないですね!


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